ポジティブ英語

UNSEEN 見えない存在(ドキュメンタリー)

なんだかんだ障害児の親になっても。

障害受容×映画の紹介

シホっぴ
シホっぴ
今回は、2022年5月にオンラインで公開されたUNSEEN(見えない存在)というドキュメンタリーのトレイラーを紹介します。

☆Unseen: How We’re Failing Parent Caregivers & Why It Matters | Official Documentary Trailer

今回の映画、何が画期的かというと、障害児を育てる家族たちの目線に主眼が置かれていて、しんどい面、葛藤が(恐れず)言葉にされている、ということですかね。

障害児自体のresilience何度でも立ち上がる弾力性、その美しさについて描かれることは多いですよね。どうしてそんなに障害のある子どもをみていると胸がいっぱいになるのだろうと考えると、家族の献身をそこに見るからではないでしょうか。

どうして家族が美しいのでしょうか。心のもろさと恐怖に何度も打ち砕かれながらも、日々、愛をpractice実践し、毎日を精いっぱい生きてるから、条件付きではない無制限の愛をそこに見るから、美しいのではないでしょうか。

かわいそうだと思われたくない

なんだかんだ障害児の親になっても、いろいろな温かいヘルプを得て、感謝に溢れて幸せに生きているんですよね、という面を書きたい、という気持ちってあります。英語で言うならば、I write positive feel good pieces because I want people to feel the beauty of life.気分が上がるような前向きな、そんな投稿をしたいなぁ、という気持ちがあります。

シホっぴ
シホっぴ
受取る側への配慮なのかもしれません。人生は美しくて素晴らしいよねって感じているんだと伝えると安心してもらえるから。

私だって、かわいそうだと思われたくないんですよね。

疲れ果てた姿をさらして、毎日疲労困憊でかわいそうですよ、って口を開く度に言うのでは擦り減ります、というか、直感的に、こう思っているのです、きっと元気そうでいるほうが得策である、応援してもらいやすいかもしれない。私なりのコーピングメソッド(順応)のひとつがそうさせているのだと思います。

でも、どんなふうにしんどかったか、どんな風にあがいてきたか、しっかり描く必要がある、私にはその使命がある、私なら恐れずありのままの自分を見せることができる、見せる勇気がある、とも思っています。

I write about heartache and pain because sometimes people just need to know that someone already was in the same dark hole.そう、痛みや頭を悩ませている種についても書こうと思う。なんでかというと、誰しも、知りたいと思うから、同じ暗い穴の中に誰かがいたことがあった、っていうことを知りたいと思うから。知ることが誰かの救いになるから。

心の痛みについて書くことの意味と効果について

心の痛みについても書くことは必要なのでしょうか。社会はそんな吐露を期待しているのでしょうか。見えない敵との闘いに膝から崩れ落ちて泣いている姿を見せることは、どういう意味を持つのでしょうか。

Shihoはとても元気そうだよ、なんだかとっても楽しそうにしているよ、という面”だけ”が伝わってしまうと、特にfor newly entry parentsこの障害の世界に急に参加することになった、今まさに苦しんでいるご家族に、(幸せな側面だけが強調されると、そのように感じて過ごすことを強要されるような気持ちになるのではないかと思っているので)不利益があると思っています。

見えない何らかの力に方向づけされて(何かの機会を逸して)いると感じることも、スティグマ(差別・偏見)を感じる機会も、各段に増えます。暗い部分、マジョリティじゃないほうとして生きていくときに感じた悲しみや砕けた希望、そういったことも知っておいてもらうことは意味があると思っています。そういうことを考える機会に恵まれた自分が、それでも、毎日が楽しいなって思っている、the stars shine brightest when the night is darkest、空が最も暗い時に、星は最も輝く、そう、星が見えるのは、夜が暗いからで、暗いほどに、しっかりと輝きが見えるのだから、だから、暗い夜もあることをしっかり伝えたいのです。

どんなところを潜り抜けてきたのか、というプロセスや、今も時々落っこちているpitfall落とし穴、そういったことをできるだけ、non-medical医療のことばっかりじゃない目線で伝えたいと思っています。

抱えてる感情は、はきだす必要がある

このドキュメンタリーの中の言葉たちはリアルです。

シホっぴ
シホっぴ
これらの親たちが抱えている感情について、どこかにはきだす必要があるんだ、それを見えなかったことにしておくのは大問題なのである。

障害児の親たちが抱える感情について話す機会を(意図的であるか意図的でないか、いずれにしても、)ゆるさなかった社会(ignorant=無知、無関心)がよくなかったのであり、この映画では、その部分についてより多くの人が理解、関心を示す(SEEN)状態を目指していくことが大事である、ということを明るみに出しました。

見えない存在だった家族に光を当てた作品

You know they say it takes a village to raise a child and I don’t know that that can be any more true than for parents of special needs children. We absolutely need that village to surround us and the village is never there. 

子供は地域全体でそだてるものですからね、なんていうのを聞いたことがあると思います。(it takes a village子供一人育てるのに、村1個必要なんだよ、社会全体で協力していきましょうね)それって、障害児子育てにもはっきり言って同じことがいえるというか、むしろ、より絶対に必要なんだけどね、the village is never thereその村そのもの(協力体制の基盤)が、存在しないというか。

We are just hanging on by a thread most of the time

ぎりぎり一本の糸にすがりついてなんとかやっている、っていうのが常態化していて。

Being a caretake for somebody with profound needs is like sacrificing your life for another person. That’s the hardest part is it’s nobody’s fault. It’s not our fault it’s not his fault it’s just part of our life. 

(自己犠牲を伴うこと、しかも、それは、誰のせいでもないということ、等がご両親から語られます)

Our parenting and caregiving will continue indefinitely and that’s just overwhelming 

“indefinitely” 終わりがない、一生続く、という事実には、打ちのめされる気持ちになります。

We are not targeting this population we are not screening them appropriately

(そこで、精神科医、心理カウンセラーの方かもです、がこう言います。)私たちは、こういった方たちにきちんとフォーカスしたことがなかった。(障害の重い子どもを育てるという難儀を休みなく行うご両親こそ、ケアが必要な人たち、であるにもかかわらず)検査・治療の対象にしたことがなかった、と。

I had a stress-induced heart attack at 30yo
It’s taxing on your body and it’s taxing on your mind 

30歳の時にストレスを起因とする心臓発作を起こしたことがあります。(Tax=税金、から転じて、tax on your bodyで無理な負担、重荷を負わせる、という意味があります。)肉体的にも精神的にも、(障害児の親であるという毎日は)大変な重荷です。

Sometimes I feel people stare. I feel there’s sometimes misunderstanding or judgement that comes from people that are just observing us as a family. 

日々の忙しさに加えて、じろじろ見られているなーというそういった、見られる、ということとも折り合っていかなければならないんですよね。

なんか、感じるのは、みんなが、私たちケアを続けている家族のことをそれ以上でもない単なる家族(家族が抱える苦労に想像が及んでいない、想像の範疇にない、ケアの大変さが度外視されていると感じる)として見ているというか、そこからくる誤解だったり、っていうのはあると思いますね。

Your heart never stops racing
It’s full time. It’s 24/7. It’s hard.
Isolated. Exhausted. Anxious. Desperate. Overwhelmed. 

心が安らぐということはなくて、いつも焦燥感のようなドキドキがあるし、24時間365日のフルタイムの仕事だし、孤独、憔悴、不安、いろいろな感情と過ごしています。

The stress that had started led to insomnia, severe mood swings, and avoidance, and as I read the symptoms of PTSD I realized, my god, I’m going through this.

ストレスから不眠になったり、気持ちのコントロールがむずかしかったりします。PTSDの症状についてたまたま読んでいたら、え、もしかして僕は、心的外傷後ストレス障害の経過をたどっているんだね、って気がつきました。

People probably just can’t comprehend the amount of constant stress that you are under. 

継続的にどれだけのストレスにさらされているのか、っていうことを、やっぱりみなさん(当事者ではないので)いまいち理解できない、把握できないんだと思います。

We are pretty much alone. 
We are kind of out here alone in the abyss of full-time caregiving

基本的にはかなり孤独です。逃れられないですから。

Ignorance is bliss. She is fine. He is fine. They are fine 

無知、知らないこと、あるいは、気づかないふりをしてあげることって、幸福をもたらす、善意、思いやり、なのでしょうかね。それって、本当でしょうか。彼女は大丈夫そう。彼のことだから大丈夫。あの夫婦はよくやっていて大丈夫そう。

And we plaster our smiles on our faces and pretend like everything’s fine
And we just cant do it any more because most caregivers are not fine, and they are not doing well. Caregivers have gone unseen for too long

そういわれると、笑顔を顔にくっつけて、なにもかも大丈夫みたいに装うしかないというか。でも、もうそれはしんどいんです。全然大丈夫じゃないです。うまいことやれてるよ、なんて状態とは程遠い人がほとんどですから。ケアギバーがこんなにも長い間、社会から見えないunseen扱いされてきてるのは問題ですよね。

There is no burden of a child. It is the burden of the society failing these families. 

We are failing parent caregivers. And it’s costing us all. So if you truly care about children with disabilities you need to also care about the parent caregivers.

これは子供が悪いとかではなくて、社会の責任です。

社会が障害児のご両親たちを(意図的ではないかもしれないけれど)見捨ててきた。(failはI failのように自動詞で使うと(自分が)失敗する、ですが、他動詞で、he fails me(人を)見捨てる、のようにも使います) 障害児が元気で幸せに生きてほしいな、とかそういったことを本当に考えてくれている方にいいたいのは、これからは、ご両親たち(の心の健康)にも関心を向けなければならない、ということですね。

今回は、2022年5月にオンラインで公開されたUNSEEN(見えない存在)というドキュメンタリーのトレイラーを紹介してみました。

ではでは。