障害受容×言葉の紹介20
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障害児子育て=独特のユーモア
この旅の始まりの段階では、障害児子育てとユーモアというのが coincidence 同時発生しうるということは、知りませんでした。
しかし、徐々に、障害児子育てをしていると、いつのまに独特のユーモアを身に付けるものなのだということに気が付きました。
自分の子供が、
- 大事な評価の日
- 顔合わせの日
- 式典の日
だというのに、そういう日に限って寝倒している。
そんな様子を見て、これは“ゆりちゃんあるあるの拒否寝”ですね(笑)、とか、“ゆりちゃんは偉い人の話を聞くときは寝たふりするので“、と言ったり(笑)。
こんなタイミングで、こんな場所で、こんなことをしてしまった(それが発作でも発熱でも)、いろいろなエピソードを振り返って、
- 私の子供は度胸がすごい、だとか、
- もってるよね、とか、
- やってくれるよね、とか、
みんなで、あらゆる事象を、ゆりちゃんらしさの表出、意思表示ととらえて、いつのまにかたくさん笑って過ごす生活になりました。
先輩方が、どのようにご自身のお子さんたちのエピソードを笑って語ってくれるかだったり小児の看護師さんたちが声かけしながら看護してくれている様子を見ながら、
お、こんな風に(!)
と、new angle 新しい角度で同じ事象をとらえなおして、自然と私もくすっと笑えるような、心のゆとりを身に付けていったように思います。
そんな、ゆりちゃんの気持ちをあーだこーだとアテレコしながら、みんなで、そうだとかちがうとか言いながらゆりちゃんの周りで、ほっこり生きている幸せな毎日です。
Meme(ミーム)について
本日は、“ミーム”について書きたいなと思っています。インターネットには、meme(ミーム、と読みます) というものがあります。
ミームという言葉は馴染みがない人が多いと思うのですが、見たことはあるよという人が多いと思います。
Memeとは、写真に一言添えられた画像、バズり画像、インターネットで拡散されて流行るネタのようなもの、のことです。
フェイスブックなどで流れてくるのを見たことがある人もいるかと思います。あれ、ミーム、っていいます。
障害児子育てをしている家族がくすっと笑えちゃうmemeもたくさん出回っていますので、今日は、いくつか紹介したいなと思います。
ミーム:紹介その1
When you ask a special needs parent “how’s everything going?”
調子はどう?と障害児の親に聞いたとき。
グッドポーズを両手でしている、Two thumbs up している満身創痍の男性の画像。
共に書いてある言葉、うまいですよね。
“調子どう?と聞かれたときの答え”、がこの表情です。
全身ぼろぼろでかすり傷だらけですが…. 調子いいよ、やってるよ、fought another battleまたひとつ闘いを終えて生き抜いたよ、といったところでしょうか笑
ミーム:紹介その2
Don’t mess with my mom, she’s a parent to a child with special needs. You have no idea how strong and determined she is…
うちのママを困らせないでよね、障害のある子どものお母さんなの、あんたうちのママがどんなに強くて強い意志で奮闘しているか想像つかないでしょ。
この画像は女の子が携帯にむかって何か話しています。
おそらく、お母さんは保険会社か役所かなにかとの電話で、なにか保険に入れないか手当がもらえないかなにかしらで、もめていたのかもしれません。
お母さんの携帯を横取りして、文句を言っているように見えます(笑)
ミーム:紹介その3
No Kids ・Typical Mom ・Special Needs Mom
綺麗にセットされた長い髪・フルメイクアップのバービーに“子供なし”の注釈があります。
ヘアトップにすこしボリュームをだして後ろでとりあえず一つ結びにしていて、子なしのバービーよりは薄化粧のバービーには、“普通のママ”、との注釈。
髪を結ぶこともせず振り乱して、目のしたにクマをつくった“障害児のママ”との注釈。
笑えないんだけど、笑っちゃいました。
夜中起きている子供に付き添ってケアをする長い夜を私は夜勤と呼んでいるのですが(笑)夜勤明けには、ちょうど、こんな感じの自分を見たことがあります。
療育園や学校でも、(化粧も髪も諦めている日なんかは特に)、寝れてる?なんて聞かれるものです。
子供が全然寝ない!というのが通常運行な家族もいて、睡眠問題は切実です。
障害児子育てはめちゃくちゃ多忙です。
各所との連絡、連携、アポ取りをこなしていると、私って人気アイドルのマネージャーになったんだっけ、と思ったりすることもあります(笑)。
こんなバービーちゃんのようにへとへとなときは、眠すぎて危険だから、療育園に運転して行くのはやめちゃおう、さぼっちゃおう、代わりにカフェに行っちゃおう、とか、
(療育園やリハビリ行かないと行かないでさみしいけれど)
先延ばしできそうなアポを減らしたり延期したりしちゃおう、とか、ご自身を甘やかして過ごしてくださいね。
You are still beautiful
こんな日もあなたは美しいですよ~!
ミーム:紹介その4
When a new doctor asks for the medical history of my child with special needs- The Never-ending Story
新しい医師から私の子供(障害あり)の既往歴や経過を聞かれたとき
“果てしない物語”、というタイトルのついた大辞典のようなハードカバーの分厚い本
笑、そうですね、どこから話しますかね、どの視点で話しますかね、どのくらいこの人は欲しいかな、笑、本当に戸惑いますね。
“果てしない物語”をどんなサイズにでも誰向けにでも切り分けて語ることができます。
ゆりちゃんってなんの病気なの?
ちなみにちょっとトライしてみると、
友人にゆりちゃんってなんの病気なのー?診断名ってあるのー?
と聞かれるときなどは、
アイカルディ症候群という診断名です。神経系の疾患で、診断基準はいろいろありますが、ゆりちゃんの場合だと典型的にぴったり当てはまる、ドンピシャな感じです。
と言ったりもできます。
3つの外せない診断基準
診断基準に興味を持ってもらえれば、脳梁欠損・網膜脈絡膜異常・スパズム発作の3つが外せない基準、3主徴であること、をまず伝えます。
重症度が伝わりにくいなと感じたときは、重度の精神発達遅滞が伴うことが多いこと、根本治療はないこと、も(あまり自分で言いたくないのですが)追加で言います。
ドンピシャじゃなくて、診断が変わっていったお友達もいるよ、という話をすることもできます。
(症候群や難病の診断というのは、ひとつひとつの症状を総合的に判断していく過程というのは、難しさがあるんだ、診断がつかないでいるお友達もいるんだ、ということをイメージしてもらえるといいなぁと思って言います。)
保育士さんと話すとき
保育士さんと話すときは、ウエスト症候群(ゆりは、ウエスト症候群でもあります)など難治性のてんかんについての知識がある人や熱性痙攣をする子を預かる経験がある人がいることがあるので、主訴は、難治性のてんかんです、と言うこともあります。
時々、レノックスがスト―症候群に移行していく話、静岡てんかんセンターや国立精神、なんかの言葉がポンポン出てくる人もいて、てんかんについての話で盛り上がれるとき、Purple Day Every Day だねっと妙な連帯感が出て、ちょっと嬉しいです。
役所やリハビリセンターの場合
役所やリハビリセンターで、障害者手帳目線で聞かれるときは、ゆりちゃんは身体の手帳は一種一級の体幹不自由、でもらっています。
四肢麻痺があります、座位取れず、寝返りなし、自力移動なし、全介助です、などと言います。
入院のタイミング時
入院のタイミングなどで、どんなデバイスを使っているか目線で聞かれるときもあって、そういう意味でどんな子か聞かれているんだなと察したときは、昔は経口摂取していた時期もあるが、三歳の時に胃ろう造設しています、噴門形成は逆流なしだったのでしていません。
気管切開前は酸素とエアウェイと持続吸引必要で熱発頻回でしたが、昨年(2022年)六歳児に気管切開しています、分離術です、といいます。
もろもろのデバイスのサイズやメーカーも加えます。
摂食障害や肺炎に対する対症療法などの全身管理が必要なこと、が自明なときに、その様子について詳細を聞かれているな、というときは、
- どのような食形態で何を食べてきたか、
- どんな頻度で肺炎をしているか、
現在の肺炎像や姿勢の工夫をしていることやパーカッサーを取り入れていること等を話します。
アイカルディのこと
アイカルディのことで、へぇ!って言ってもらいたいときには、
ちなみに、x染色体に起因すると考えられていて、男児の場合は致死で患者は基本的に女児なんですよ。
アメリカには、私の知る限り男児の患者は彼だけなのですが、
- XXY染色体の別疾患でかつアイカルディでもある男の子がいること、
- 彼に会ったことがあること、
- 世界で最高齢のアイカルディ症候群の方は50代でその人にも会ったこと、
などを伝えます。国内には30歳を超えたお友達もいて、励まされていること、国内につながりのある仲間が全国各地にいることも伝えます。
神経科の先生方の中でも、患者さんたちの実態までは共有されていないので、知っていること(話すことや歩くことができている人もいること)を伝えています。
希少疾患の実態が母数が少ないのでなかなか見えてこず、教科書に書かれてることを家族に伝えてしまうと思います。
しかし、家族会などのつながりができて横が見えてくると、いろいろな予後の子がいることが分かってきます。
予後が悪いことを言われてとてもショックを受けたけれど、長く生きている仲間がいることを今は知っているので、次に診断を下す人には、こういった良いニュースも伝えてあげてほしいなと思って、言っています。
実は、これは、一般的な概要というか序章で(笑)、ゆりちゃんのみに特徴的に存在している所見というのがたくさん存在しています。
本当に果てしない物語
本当に果てしない物語ですね(笑)
the never-ending story
ちゃんと書くと大辞典のようになってしまうので、書いていられないのですが、
the nightmare bacteria
という非常に恐ろしい耐性菌ができたときの話や、
bamboo spine
といって竹のように背骨が癒合している珍しいタイプの側弯があってそれについもフォローしてもらっている話や、コロナに罹患したときに起きた思わぬトラブルについてand moreも書いてみたいものです。
と、いうことで、最後の果てしない物語の部分が長くなり過ぎましたが、本日のテーマはユーモアについて、ミームでした。
ミーム、好評だったら、また選んで書きたいなと思っています。
ではでは。