「ぼく、こっちの耳がちっちゃいから」と自分の右耳を触りながら。
息子のこと その日は唐突に・・・
2022年8月の火曜日の夕方のこと。
友梨ちゃんの嚥下・摂食の練習で入っていただいているST(言語療法士)さんに向かって、
駿(しゅん)くんが初めて「ぼく、こっちの耳がちっちゃいから」と自分の右耳を触りながら言いました。
「まるくなっちゃったの」といいました。
3歳9か月。右の耳が小耳症であることを完全に認識したようです。
聴診器をつけて、お姉ちゃんの肺雑音を聞いているSTさんに、ちょっと貸してと聴診器を借りながら、聴診器の先端がいまいち右の耳には入らない、という困りごとを、伝えています。
ほどなく別の日に入っている看護師さんにも言うようになりました。
ゆりちゃんの訪問看護師さんやリハビリの先生方と日々コミュニケーションをとっていることや、聴診をすることを日常の一コマとしてとらえている彼をとても誇らしく思っています。
この告白も、ゆりちゃんの日常の先生と過ごす時間の中で訪れました。
彼なりに、誰が“我が家に介入してくれいている身近なプロフェッション”なのかを理解しているかのようでした。
手術の意志表明へ。
2022年11月のこと(4歳0か月)。
室内遊び場で、ボールプールの海で大いに楽しんだ駿くん。帰宅すると、うつむいて、こういいました。
「僕は耳がちっちゃいんだよ」
そして、いつ覚えたのか知らない「交換」という言葉を使ってこういいました。
「耳を交換したいんだよ」どうやら、遊んでいるときに年上のお兄さんに、耳のことを言われたというのです。
私の耳を触りながら、「大きい耳がいいんだよ!」と言いました。
今までも、近くにいた子から「どうして耳が小さいの?」と聞かれたことがありましたが、今までは私が答える役割でした。「生まれつき小さいんだよ」と。
あるいはお友達のお母さんが天使の声でこういいました。
『かわいいお耳だね、素敵なお耳だね』と。私はそんな時、深くお辞儀をします。
お友達がいつ気が付くのか、どんな風にお友達は受け止めて、どんなふうに私のいないところで本人にどんなふうに言うのか、駿はどういう思いをするのか、駿はどう受け止めてどんなふうにこたえるのか。もちろん気になっていました。
The first thing I thought when I saw his ear was that I didn’t want people to be mean to him.
彼の耳をみてはじめに思ったことは、いじわるをされないといいな、ということでした。
これからはお友達にどう伝えていくか、先生やクラスと初めに言うのがいいのか、自然とがいいのか、駿くんといろいろと作戦をたてなくてはいけません。
乳児期から約3年待ってやっととれた予約。
2022年5月
北海道札幌医科大学の四ツ柳高敏先生(小耳症の耳の再建術の形成外科の名医)の受診をしています。HP→ https://web.sapmed.ac.jp/prs/shojisho/index.html
コロナ禍なのもあり、我が家の場合はお姉ちゃんとの移動が大変なため(友梨ちゃんが発熱した場合に、飛行場で足止めを食らったり、到着先の病院にご迷惑をおかけする等、簡単に予見できたため)、駿と父のみで飛行機にのって受診をしています。(私はオンライン参加しました。)
そのときの撮ってもらった先生とのツーショット写真を見せながら、本人に手術をしてもらいたいか確認してみたところ、「したい」とはっきりと言いました。
10歳になったらできるんだよ、と伝えました。
自分の肋軟骨を使った大掛かりな手術になるので、胸囲が必要だし耳の大きさがある程度になってからの手術になるので、今すぐはできないのです。
そうすると、駿くんは、今年のカレンダーをもってきて、どの日が10歳かと聞いてきます。(駿くん、11月上旬に4歳になったのですが、11月や12月中に10歳になることはないのです、残念。←かわいい、笑。
まだ小さくて、年単位の時間の流れの感覚はわからないけれど、どこかの未来の地点を指すというのはよくわかっているようです。)
10歳になったら、耳を大きくするんだという決意。
4歳になったばかりの駿くんは、10歳になったら、耳を大きくするんだという決意をしました。
最近16キロになって嬉しそうです。たくさん食べて大きくなると手術ができるようになることを言ったら、毎日体重を計って大きくなったか聞いてきます。
手術をしても、機能が回復しない(小さいほうの右耳は奇形のみでなく、難聴です)のだから、見た目はどうでもいいかな、(本人に聞かないといけないけれど)そのままの君がとても可愛いよ、と思っていましたが、本人は、どうでもよくない!!とのことです。
よし、直そう。綺麗な耳をつくろう。可愛い耳のままでもいいけどね、治してみよう。
If surgery is the way my child chooses, I will fully support, but never will I impose altering the body he was born with.
私から、生まれつきの彼のこの身体を直したほうがいいよとimpose強要することは決してないが、私の子供が手術をしたい、それが彼が進みたい道だと選ぶなら、フルサポートしたい。
一回目の手術は(するとしたら)おそらく、小学5年生でしょうか。
1ヵ月程の入院を2度。全国各地の小耳の同年代の仲間と札幌で過ごす入院期間(合宿?)は、かなり楽しいようです。
勉強しないで、ゲームばかりしてしまうらしい?笑、です。
小耳のお友達との一生忘れられない濃密な時間を過ごすようです。
もう一度言いたい。
I am teaching him to love himself the way he is and if it were up to me I would not change a thing about him but I will let him decide when he is old enough.
そのままの君で素敵だといいたい。私が決めていいなら、何も変えたくない。でも、十分に大きくなったら、彼が決めるのがいいでしょうね。
駿は、とてつもなく元気で、健康的なセルフイメージをもったcommunicativeコミュニケーションの力の高い、面白い子です。
(行く先々でどっと場を沸かせている駿で、習い事先でも幼稚園でも、先生たちを抱腹絶倒にさせています。Youtubeで配信するべきだ、人気チャンネルになれるよ、とよく言われます。予定はありませんが、配信したら面白いでしょうね、笑。)
今のところ、小耳であることは彼の人格形成に影を落としていない様子ですが、今後どんな目に遭うか、わかりません。
子供たちは自分と他人の違いに気が付くと言葉にします。
お姉ちゃんに障害もあるので、いろいろなことを言ってみたくなる人が現れるかも?そして意外にも繊細な駿くんが現れるかも?しれません。
I can only imagine bullying being worse when I am not there.
私がいない場面では、きっと、いじめはもっと酷いだろう、そうとしか思えません。
I hate that he might have to end up getting cosmetic surgery just because other kids have a problem.
他の子供たちに問題(受容・いじめに関する)があるからという理由で、私の子供が形成外科的手術、特に美容面についての手術をすることになるかもしれないと思うとすごく複雑なんです。
I don’t believe surgery is the answer. Children bully over a multitude of things. Children will be mean. It’s part of development and learning society and boundaries.
手術が答えだとは思いません。子供というのはあらゆることについていじめをしますから。成長の過程ですから。社会や違いなど学ぶ上での通過点というか。
I wish I could keep my baby in a bubble forever.
私の子供をバブルの中に永遠に包んで過ごさせてあげられたらいいのに。
Equip her to defend herself against bullying, and be there to pick her up when she is down.
いじめから自分を守れるように彼女に必要な力を備えさせよう。それで落ち込んだときには、支えてあげよう。
子供に障害があって、親としては何ができるのか、わからない。
そのままの君を愛しているということを伝えてあげるくらいしかできないけれど、君の葛藤を想像すると苦しいと伝えてあげるくらいしかできないけれど、代わってあげることもできないけれど、想像を超えることが起きてもなお、完璧ではなくてもなお、ビューティフルだと伝えたいです。
小耳症の海外の方からおすすめされた、ミラベルと魔法だらけの家 The Encanto の曲、 “What else can I do?” を貼っておきます。
完璧なんかじゃないけどオッケー、というメッセージが感じられる冒頭部分が好きです!
特に左右の非対称性がある小耳症なので、アシンメトリーである、not symmetricalという言葉が心に響きます。
ミラベルと魔法だらけの家 The Encanto の曲、 “What else can I do?
リンク(60) Diane Guerrero, Stephanie Beatriz – What Else Can I Do? (From “Encanto”) – YouTube
“I just made something unexpected” “Something sharp. Something new.”
たったいま、思い描いていたのとは違う何かがうまれたの
“It’s not symmetrical or perfect but it’s beautiful and it’s mine what else can I do?” “Bring it in. Bring it in.”
左右対称じゃない、完璧でもない、でも、ビューティフル。私が作ったの。ねぇ、これ以上何をのぞむ?おいでよ、仲間に加わって!ハグしてハグして!
You are unique and beautiful.
あなたはユニークで美しい。
Never let anyone try to hold you back for any reason.
決してどんな理由であれ誰もあなたのことをhold back隠す、ひっこめておくことなんて、できないよ。
共に未来の地点を指そう!
ではでは。